日本産婦人科学会が、新型出生前診断(NIPT)に関するパブリックコメントを募集。当事者家族として投稿しました

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日本産婦人科学会が、新型出生前診断(NIPT)についてパブリックコメントを募集していましたので、私の意見を投じさせていただきました。

パブリックコメントとは、国の行政機関が政令や省令などの案をあらかじめ公表し、国民から広く意見や情報を募集することです。

具体的な内容は、以下のとおり。

NIPTとは、妊婦さんの血液中に含まれる胎児DNAを分析することにより、胎児の特定の染色体異常を発見できる検査です。ただしこの検査は、

・この検査で全てが分かるわけではなく、異常が見つかったとしても追加で詳細な検査をしなければ確定診断は得られないこと

・異常から推定される隔たりを持つ子供達がどう育つのか、また妊娠中に分かった場合どのような選択肢があるのか

等を正しく理解いただいた上で受けて頂く必要があります。そのため、日本医学会連合が認可した施設(検査前に十分な説明ができ、その後の妊娠経過にもきちんと対応できる施設)のみで実施可能というのが現行指針となっています。しかし認可が下りる施設は少なく都道府県によっては全くない県もあるため、一部無認可施設が指針に反して検査を始め、そこで十分な説明が受けられないまま大きな不安を抱えて分娩施設に相談にお越しになる方が数多く出てきてしまいました。この中には誤った情報をもとに妊娠を諦めたい、とおっしゃる方もおられました。

日本産科婦人科学会ではこの現状を重く見て、現状の認可施設と連携することで追加検査やその後の経過にも対応できるよう整備し、NIPT検査可能産院を広げていくことを提案しています。この提案に対して是非広く皆様のご意見をいただきたく、パブリックコメントを募集することになりました。

NIPT(新型出生前診断)実施施設の改定案について意見公募より引用

■締切
2019年3月24日

■指針改定案
母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針(案)
*PDFファイル

 

現状、NIPTが受けられる施設が少ないため、無認可でNIPTが行う施設がではじめています。そこで、どうすべきか? という意見募集です。

私は、妻がNIPTを受けた夫です。当事者ではなく男性の意見にはなりますが、NIPTに関しては思うところがありますので、以下の意見を送信させて頂きました。

投稿した内容を、そのまま掲載します。

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【私が投じた意見】NIPT(新型出生前診断)実施施設の改定案について

私たち夫婦は、2013年と2016年に2度「NIPT」を受けました。

1度目は陰性で、2度目に陽性反応がでました。結果は「18トリソミー」。その後、確定検査となる「絨毛検査」を受け、その結果も同様の18トリソミーでした。

夫婦で何度も話し合い、病気について勉強し、中絶を決断しました。

【賛成】NIPT検査可能産院を広げる

NIPT検査可能産院を広げていく改正案に関して、私は賛成です。賛成の理由は以下のとおりです。

賛成の理由は「NIPTがなかなか受けられない」

NIPTが受けられる病院の数が非常に少なく、かかりつけの産婦人科では「手間が掛かる」ということでNIPTが受けられる大学病院などへ取り次いでもらえませんでした。具体的に言うと、2013年に妊娠した際は紹介状を書いてくれたのですが、その後「希望者が多すぎて大変だ」ということで、その産婦人科(正式にはクリニック)では紹介をやめたのです。

その結果、私たちは大学病院へ直接検査を依頼することになりましたが、病院からは「検査を受けるには紹介状が必要です」と言われ、たらい回しに(当時、無認可検査施設はなかった)。

NIPTは検査可能な妊娠週数が限られている上に、妊婦はつわりが大変になりがちな時期。ここでの足止めは夫婦にとって辛いので、NIPT検査可能産院はぜひ広げて欲しいです。

NIPTにおいて、大切にして欲しい2つのポイント

ただし、諸手を挙げて賛成という訳ではありません。その理由は、大切にして欲しいポイントとして2つあげます。

大切にしてほしいポイント1「遺伝カウンセラー」

遺伝カウンセラーさんの存在です。私の妻は、昭和大学病院でNIPTを受けました。その際、担当してくださった遺伝カウンセラーさんがとても親切だったのです。事前の説明が具体的でわかりやすく、検査結果(18トリソミー)を報告してくれる際も、少しでも私たちの動揺を抑えるため、心配りいただきました。その後のカウンセリングでも、心身ともに寄り添っていただき、とてもありがたかったです。

NIPT検査可能産院を広げていくに際し、優秀な遺伝カウンセラーさんの有無はどうか大切にして欲しいです。

大切にしてほしいポイント2「小児科医」

小児科医の存在です。18トリソミーが確定した日、遺伝カウンセラーさんからの提案で、小児科の先生ともお話しさせていただく機会を得ました。寿命のこと、合併症のこと、育児・介護のこと、保育園のこと、夫婦共働きが続けられるかのこと、少数だけど比較的元気に何年か生きられる子がいること……など。そうしたお話を頂いた上で、先生は「生むのか」「中絶するのか」どちらの選択肢を取っても良いんだよ、という雰囲気でお話くださいました。

先の遺伝カウンセラーさんのお話に加え、小児科の先生のお話を聞くことで、その後、私たち夫婦で話し合いをする際の良い指標になりました。結果、中絶を決断しましたが、先天性疾患をもって生まれる子を育てる親のことや命の尊さを知ることができたのです。

もし事務的に結果のみ伝えられていたら、どうなっていたのだろう……と怖くなります。

最後に

ふたつの「大切にして欲しいポイントを押さえようとしたら、NIPT検査可能産院を広げられないじゃないか」と思われるかも知れません。しかし、陰性反応がでる割合は少数ですので、まずは検査ができる窓口を増やして欲しいと願います。先述したとおり、妊娠初期にたらい回しになるのは大変ですので。

私の意見は以上です。
どうぞよろしくお願いします。

その他、アンケート項目について

NIPT(新型出生前診断)実施施設の改定案について意見公募は、他にも選択式のアンケート項目がありました。

あなたの性別は

  • 女性
  • 男性

あなたの年齢は

  • 20歳未満
  • 20歳代
  • 30歳代
  • 40歳代
  • 50歳以上

あなたのお住いの都道府県は

  • 全国都道府県より選択

どのようにこのアンケートを知りましたか?

  • Babyプラスアプリで
  • 日本産科婦人科学会のWebサイトで
  • その他(具体的に記入ください)

あなた(またはあなたのパートナー)は現在、妊娠中でしょうか?

  • 妊娠4か月以下(妊娠15週以下)
  • 妊娠5~7か月(妊娠16~27週)
  • 妊娠8か月以上(妊娠28週以上)
  • 妊娠中ではない

あなた(またはあなたのパートナー)はお子様をご出産されたことがありますか?

  • はい
  • いいえ

このような詳しい遺伝情報を含む出生前検査は世界の先進国で広く行われています。日本においてこのような検査を行うことに対するお考えを教えてください。

  • 日本でも積極的に行うべきである
  • 日本でも行ってもよい
  • わからない
  • 日本ではあまり行って欲しくない
  • 日本で行うことに強く反対する

このような詳しい遺伝情報を含む出生前検査についての最初の相談先として、下記の中で誰が適当と考えますか? (必須)

  • 産婦人科の専門医
  • 小児科の専門医
  • 遺伝の専門医
  • その他の医師
  • わからない

今回の改定案では、この検査を実施できるのは分娩施設限定で考えています。これは検査で問題が発見された場合、羊水検査や絨毛検査という専門的検査が追加で必要なため、それが可能かつ妊娠経過を見守ることができる施設で行う方が良いと考えるからです。このことに関して

  • この改定案程度に、分娩取扱施設を対象として増やすべきである
  • 分娩取扱施設に限らず妊婦健診を行う施設を対象に数を増やすべきである
  • どこでも検査を受けることができるようにするべきである
  • 現状のままで、増やす必要はない
  • この検査自体に反対する

今回の指針改定案に

  • 強く賛成する
  • 賛成する
  • どちらでもない
  • 反対する
  • 強く反対する

賛否両論あると思いますが、記録として記事にしました

意見公募の件については、以上です。

NIPTに限らず、出生前診断に関しては、人それぞれ思うところがあると思います。賛否も、意見も、人それぞれでしょう。「こんな意見公募があったこと」「NIPTで陽性反応の結果を受けた夫婦の夫はどう考えたのか」を残すために、ここで記事にしました。

数年後には、今とは状況が変わっていることでしょう。

NIPTに関しては、特に当事者やその家族が意見を出して欲しいと願います。

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このブログは「40歳の妻」と「43歳の夫」が直面した実話を綴っています。妻が妊娠10週目に染色体を調べる新型出生前診断(NIPT)という検査を受け、お腹の赤ちゃんが18トミソリーという非常に重い先天性疾患であると告げらるのです___。 近年日本では、晩婚化にともない高齢出産が増加しています。先天性疾患の原因となる染色体異常は、妊婦が高齢になるほど急激に高くなるという統計があります。おそよ35歳から急カーブを描くように。おなじようなことで苦悩するご夫婦が増えて行くかもしれないと思い、私たちが経験したことを記することにしました。 【免責事項】記事内では実在する病院が登場しますが、当サイト運営者の記憶を頼りに日記として書いていますので、必ずしも正しいとは限りません。可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、誤情報が入り込んだり、情報が古くなっていることもございます。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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