【第8話】只今、妊娠10週3日(妊娠3ヶ月目)
昭和大学病院で、新型出生前診断(NIPT)を受ける日がやってきた。検査方法は腕から注射で採血するだけなのだが、検査前に改めて遺伝カウンセラーさんからの話もあるとのことなので、夫婦で病院へと出向いた。
余談だがこの時期、スマートフォン向けのゲーム「ポケモンGO」がリリースされたばかりで、歩きながらスマートフォンを触っている人がやたらと多い。夏休み真っ只中で、子供も大人もポケモンGO。昭和大学病院へ向かう際、駅のホームや改札付近でも「歩きスマホはしないように」の警告が目立った。
さて、そんな夏の暑い時期、僕たちは病院に到着した。
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検査前に、基本情報の確認
僕と妻、そして前回勉強会の際に説明してくださった遺伝カウンセラーさんの3人が、採血を行う前に産婦人科の小さな部屋で話をした。遺伝カウンセラーさんは若い女性医師で、とても丁寧で優しい。世間には事務的な医師も多いが、僕たちを担当してくださっている彼女は、それとは真逆の良い印象だ。
*以下の内容はメモと記憶を頼りに書きましたので、間違っている箇所がある可能性があります。ご了承ください。
まずは、現在の状況を確認。
出産予定日はいつか?
流産経験はあるか?
第一子の年齢や性別は?
タバコを吸っているか?
大きな病気歴はないか?
……など。
そして検査を受けるにあたっての心配事を訊ねられた。
妻は「やはり私の年齢が高いので」と答える。妊婦の年齢が35歳以上から染色体異常発生の確率が急増するという統計があり、妻は現在40歳。多少の不安はある。
そして、新型出生前診断(NIPT)の特徴について改めて解説をいただいた。
検査の的中率。結果は確実ではない
その中で特に重要なのは的中率。先の記事でも書いたとおり、新型出生前診断(NIPT)は確定検査ではない。
染色体異常が無い「陰性」の的中率は99.9%だが、異常ありと判断される「陽性」の的中率はおよそ95%とのことだ。
要は、問題なしの精度は高いが、問題があるときの精度は少し劣っている。
ちなみに、新型出生前診断(NIPT)の検査自体が失敗することもあるそうだ。母体の腕から採取した血液から、赤ちゃん由来のDNAの断片を検出するのだが、断片が少な過ぎて、検査が失敗することがある。その理由としては、検査時の週数が早過ぎた、妊婦が肥満体で血液量が多くDNAが薄まっていた、などがある。
その検査が失敗した場合は2度目の検査をおこなうが、まれに2回連続判例不能の方もいるそうだ。
もし結果が陽性だった場合、確定検査の追加費用は掛からない
新型出生前診断(NIPT)は確定検査ではないため、もし結果が陽性の場合、結果を確定するために絨毛検査か羊水検査を受けることになる。
ただし新型出生前診断(NIPT)は、現在臨床研究として実施されているため、再検査時の絨毛検査や羊水検査は研究費のなかでまかなわれ、追加の検査費用は掛からない。
これら出生前診断は、どれも10数万円と高額なので、1度の費用で済むのは経済的に安心できる。
陽性と結果が出た場合、夫婦でどうするかを話し合っていますか?
担当医から「もし検査の結果が陽性だったとき、どうするかを夫婦で話し合っていますか?」と聞かれた。妻は「はい」と答える。それ以上、具体的には聞かれなかった。
また、「NIPTで陽性だった場合、絨毛検査と用水検査はどちらを受けますか?」とも質問され、妻は「もし陽性だった際、少しでも早い方が良いので絨毛検査になると思います」と答えた。
一つ前の記事でも書いたが、検査可能時期は「絨毛検査が妊娠11〜14週」「羊水検査が妊娠16週以降」で、結果がでるまでいずれも2〜3週間かかる。中絶は法律で妊娠21週6日までと決まっているので羊水検査だと、考える時間も、手続きする期間もギリギリになってしまうからだ。
ちなみに、再検査を受ける前に流産になってしまう方もいるのだそう。
カウンセリングの最後に、同意書にサインをして、いよいよ検査へと向かった。
検査は一瞬。腕に注射器でチクリと少量採血するだけ
さて、検査と言っても、特別な部屋へ案内されるわけではなく、「採血室へ言ってください」と言われるだけ。採血室へは妻だけが入り、僕は待合で待っていた。
しかし、妻はものの数分で出てきた。
腕に注射器で少し血を取るだけなので、あっという間に終わったらしい。
NIPTの検査費用は2年前より少し安くなり、18万3,600円
僕たちは2年前、同じ検査を受けたとき、検査自体の費用はおよそ21万円ほどだった。今回は2〜3万円安くなり、18万3,600円。
その理由は、前回、採血した血液は空輸でアメリカに送られ、アメリカで検査をしていたからだ。今は、日本で検査できるようになったので、その分、安くなったらしい。
これも健康保険は適応外で、100%自費負担だ。高い……。
今回の医療費「新型出生前診断(NIPT)」
医療費(診察費) 186,420円
保険適応外・自己負担10割
- 初診料
- GeneTech NIPT
さて、病院を出た僕たちは、病院の近くの中華料理屋でランチを食べて帰った。妻はボリューム満点の麻婆豆腐定食、そして僕はラーメンセット。
僕たちが心穏やかに昭和大学病院を訪れるのは、この時が最後になった。今はまだ知らないのだが……。