妊娠11週5日。新型出生前診断(NIPT)検査結果は陽性、18トリソミーでした

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【第10話】只今、妊娠11週5日(妊娠4ヶ月目)

その日、昭和大学病院はとても混んでいた。

「予約しているから、すぐに呼ばれるんじゃないかな」
「そうね」

僕たち夫婦は、検査の結果について気になりつつも、今、その話題を口にすることはなかった。3日前の妻の夢は気になるが、そんなものが当たるはずがない。18トリソミーは8,000人に一人の割合、40歳でも数百分の一の確率だ。

とにかく30分後には、僕たちはホッとして、次の予定を立てるんだ。

職場で発表したり、友達に伝えたり、息子くんが通う保育園でも報告しよう。あと、4人で暮らせるよう広い家にも引っ越さないといけないな。そんなことを考えながらソワソワしていた。

混雑する病院の待合室で座っていると、担当してくださっている遺伝カウンセラーの肩書きを持つ女性医師が僕たちを見かけて声をかけてくれた。

「今日は、どこの診察室もいっぱいなので、別室で話しましょう」。

そうして僕たちは、以前勉強会のときに入った会議室へふたたび案内された。

広い部屋に、ぽつんと3人だけ。

なんだかおおげさだな、と妙な胸騒ぎがした。

医師は、ゆっくりと、口を開く。「念のため、生年月日を確認させて頂きます」。妻もおなじくゆっくりと答える。医師の手にはA4サイズの茶封筒。

「検査の結果は……」

じわりと中から用紙が半分ほど引き上げられた。

「18トリソミーです」

目の前が一瞬真っ白になった。となりに座っている妻を見ると、涙ぐんでいる。医師は、まっすぐに僕たちを見つめながら、穏やかに検査の結果について語りはじめた。

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18番目の染色体に異常が見つかり、検査結果は18トリソミー

「NIPTは、陰性、いわゆる『遺伝子に異常がない』という判定精度は99.9%以上と高いのですが、異常があったときの陽性は若干精度が劣ります。そのため、改めて確定検査を受けた方が良いと思います。確定検査には、絨毛検査と羊水検査があります」と。

確定するための再検査については、勉強会、検査前の説明でも聞いたとおりだ。

「今日、このあと超音波検査を行いますね。お腹の赤ちゃんのようすを外観から見てみます。所見で異常がわかることもあるので、そのための検査です」。

染色体異常は、DNAの検査だけでなく、エコーを使っての外観からもわかることがあるらしい。ちなみに今日の超音波検査や後日受ける確定検査の追加費用はかからないことも、改めて説明を受けた。

このとき僕たちは、赤ちゃんを堕ろすと考えていた

「何かご質問はありますか?」

涙の決壊を我慢している妻をみて僕は、「もし……。もしも、赤ちゃんを諦めると決断した場合、一体どんな流れになるんでしょうか?」と口火を切った。

僕はこのとき、赤ちゃんを人工的に堕ろす「中絶」と単語が頭に浮かんでこなかった。妻への衝撃を和らげるつもりで「諦める」という言葉を選んだけど、実のところ中絶が思い出せなかったのだ。それだけ、僕にとって無縁だと思っていたからだろう。

堕ろすのに間に合う週数はいつか?
対応している病院はどこか?
どういった処置になるのか?

など、中絶について基本的なことを質問した。

「中絶可能なのは妊娠20週までです。今は11週ですが、改めて確定検査を受けてからでも20週には間に合います。また、入院期間は1週間、長い方は2週間くらいかかります」
「……えっ! 中絶って日帰りじゃないんですか?」
「はい。中絶といっても出産とおなじなので、それくらい掛かるのです。詳しくは処置を受ける病院で説明を受けることになりますが、事前に入院して、お薬で陣痛を起こして分娩するので、産後を含め数日間は病院にいることになります。なかなか産まれないこともあるので、期間が長くなることがあるのです」

僕、そして妻も、赤ちゃんを諦める処置は日帰りだと思っていた。何日も入院すること、そして処置というより出産であることに衝撃を受けた。

「病院には、普通に分娩される妊婦さんもいらっしゃいますので、個室がある病院がいいと思います。他の方と同じ部屋はメンタル面で辛いと思いますので」

病院については、昭和大学病院に勤務していた医師が独立開業した、信頼できる病院があるとのことなので、そこを紹介してもらうことにした。

超音波検査、人間のカタチをして元気よく動いている

検査結果の報告を受けた僕たちは、次に検査室へと向かった。超音波検査室へは、僕も一緒に案内された。

検査用のベッドに妻は仰向けになり、お腹の洋服をめくって、エコー検査用のザリーを塗る。モニターには妻の子宮のなかが映し出されている。

あっ……。

そこには赤ちゃんがいた。卵のような楕円ではなく。魚のような姿でなく、あたまも、身体も、手も、足もあった。

検査中、赤ちゃんは元気よく動いている。そして、小さな手を振ってくれた。僕たちに挨拶してくれているのだろうか。

超音波検査を担当してくれた女性医師は、「所見では特に問題ありません」と言ってくれた。

赤ちゃんは、とても元気に妻のお腹のなかで育ってくれていたのです。人間のかたちをして。……涙が出ました。

今回の医療費「出生前検査教室」

医療費(診察費) 5,000円
保険適応外・自己負担10割

  1. 産婦人科・遺伝相談30分未満

 

僕たちは、午後からの仕事のため病院を後にした。その道中、妻は気丈にも「検査の結果はショックだけど、私はまだ妊娠できることがわかったし、次にむけて頑張ろうって思えるわ」と言っていた。

この時はまだ、そう思えていたのだ……。

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このブログは「40歳の妻」と「43歳の夫」が直面した実話を綴っています。妻が妊娠10週目に染色体を調べる新型出生前診断(NIPT)という検査を受け、お腹の赤ちゃんが18トミソリーという非常に重い先天性疾患であると告げらるのです___。 近年日本では、晩婚化にともない高齢出産が増加しています。先天性疾患の原因となる染色体異常は、妊婦が高齢になるほど急激に高くなるという統計があります。おそよ35歳から急カーブを描くように。おなじようなことで苦悩するご夫婦が増えて行くかもしれないと思い、私たちが経験したことを記することにしました。 【免責事項】記事内では実在する病院が登場しますが、当サイト運営者の記憶を頼りに日記として書いていますので、必ずしも正しいとは限りません。可能な限り正確な情報を掲載するよう努めておりますが、誤情報が入り込んだり、情報が古くなっていることもございます。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

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